ーーもう一つ聞きたかったのが、「テクノロジーと太田惠資」っていうことなんですが。
僕はまあ、新しいものが凄く好きだというのと、本当に理系かどうかわかんないけど理系を出てるし、テクノロジーはまず手放しで大好きなんです。音楽で言えばコンピュータとかサンプラーとか大好きだし、もしかすると誰よりも早くやっていたかもしれない。例えば、さっきの黒沢美香さんのパフォーマンスの時もずっとそうだし、サンプラーがなかったころにテープを駆使してサンプラーと同じようなことをしたり...。京都にダムタイプっていうパフォーミング・アート集団がいて、彼らもすごいテクノロジーを使うんだけど、彼らと一緒にやったときも僕が作った音源を自由に出し入れしてもらいつつ、スイッチングで僕がその場所でスイッチを踏めばその音が出るようなパフォーマンスをやったりしてたね。だけどそういう部分は、誰にも知られてないんだな。
もしかしたらみんなが好きな部分で、エスニックとか旅人だとか時間にルーズだとか(笑)、寅さんみたいな「あいつぁ駄目なところがいいよな」ていうところがあるのかもしれないけど、「あいつぁ実は機械に強くってさ」となるとちょっと様子が変わってくる(笑)。そういうのも手伝って、「太田は機械とかわかんなくてコンピュータなんてまるで反対のところに居る人だよね」ってイメージもあるのかもね。だけど実はもう大好きで、テクノも最初から好きだったし、出来ることであれば、ざまあみろっていう形で駆使してやりたいね。それがソロアルバムなのか、ライブなのか、まだヴィジョンはないんだけど。
でも「使ってます!」って感じでなくて、さりげなく使ってるようにも見せたいとは思ってて、そうなるとまた映画の話になるんだけどね。フランスの映画とかですごく地味な映画に見えてもすごいカラーリングに凝っていたりとか、映像テクニックを実は駆使しているっていうのいっぱいあるから。そういうの、いいよね。だからいまさら「太田惠資テクノバンド作ってみました」みたいなものではなくて、だけど音響派やテクノの人が聞いても納得できるような、「この打ち込みはちょっと半端じゃないな」とか「これは相当やっている人じゃないと出来ないよね」みたいな。クオリティの部分で駆使したいね。
ーー他のミュージシャンの話になりますけど、テクノでいうとどのへんから・・・?
僕は、Tangerin DreamとかKraftwerkとか、その前で言うとSwitched on Bachって「時計仕掛けのオレンジ」で第九の喜びの歌とかをやっている、ムーグのシンセのまだ単音しかでないやつを駆使して多重録音している初期のテクノからすごい好きなんです。日本でいうとその後に富田勲さんとか、出てきてね。
(自分も)アナログシンセの出始めのころから触ってて、自分でパッチングして本当に発振させて、それをfrequencyでいじっていく、レゾナンスとかいじっていくのからやって。今もその楽器は持ってますよ。僕自身の作品だと、サンプラーもなくてリズムマシーンは一個ショボイのが出てきた頃かな、シーケンサーがなかったので全部手弾きで。バスドラもそうだしスネアもシンバルもタムも、全部一個ずつ録音して。手弾きで「ドゥッ・ドゥドゥッ、ドゥッ・ドゥドゥッ」って、で次は「タッ!タッ!」って(笑)。Macもなあ、あんなバカみたいな、日本語も使えないし、何にも使えないMacを百何万とか出して買ったんだもんなあ。
ーーいまテクノが拡散していて、例えばROVOとかがクラバーにすごく受けていて、テクノミュージックの中でライブ感のあるものをやるっていうことがすごく求められているって思うんですが、そのあたりどうですか。
そうだよね、うんうん。今頃何言っているんだ、という気持ちと、さっきから流れ流れって言っていますけど、今がチャンスかっていう気持ちと(笑)両方です。もしかしたら遅いくらいかもしれない。いわゆるクラブ系の、Fun-Da-MentalとかAsian
Dub Foundationとか、まあもっとみんなが知っているところでいうとDeep Forestとかね(笑)、ああいうの結局、俺だったら昔からやってるなって思うもんね。もちろんその人たちはもっときちっとやってるんだけど。でもああいうのってエスニックな部分は自分はループ使うだけでなくてライブ感出して生でやれるから、今やれれば面白いなって思う。まあだから、もしソロアルバム出来て、発売記念ライブとかやるんだったら絶対そういうものにする。それも急がないと流れが変わっちゃうかもね(笑)。
僕はジャンル分けをしないことをモットーにしている。だからダンスと音楽を分けていないし、アンダーグラウンドとすごくエンターテインメントの部分も分けてないし、アナログな部分とデジタルな部分も分けてないしアコースティックとエレクトリックも分けてない。いま、2002年という形で全てが普通に一緒にある形が好きです。お客さんも多分そう思ってるはずなんだけどね。だから例えば日本のJ-POPでいわゆるブラコンぽいのとか日本語を上手くのせられるような人たちが出てきて頑張ってきてる中で、ピットインとかエアジンとかでやるようなものは誰も知らない。だけど実はぼくらがやっているようなことは、J-POPが好きな人たちには絶対受け入れられるような気がしてるんだけどね。