太田惠資インタビュー2002 part6

「ファンとの関係について」


ーー最後になるんですが、アーティストとして、ファンとの関係について。

ファンの方はすっごい大事だしありがたいことだと思っています。さっきも出たけど、かつて実験的なことをやっていてお客さんがいなくなった時点で「これは違う」と思ったんだ。自分たちのためにはなったんだけど、「舞台芸術がなんであるか」を追求していたにも関わらず、目撃者がいなくなったんだよね。それは違うと思ったので、やっぱりお客さんは大事、ファンは大事というところはすごくある。

だけど、やっぱり僕らはある種、距離を持ってもらわないと自分がやりたいことをやれないというか、もうちょっと下世話なクサイ言い方をすれば、「夢をみせたい、夢をみてもらいたい」と思う。その人の人生とか自分に取り入れてもらっていいし、独自の受け取り方をしてもらっていい。そのためには僕は遠くにいなきゃいけないし、普遍的でないといけない。だから、ある特定の思い入れとかに影響されない存在でなければならない、と思っている。

ところがある種のファンの人は自分が見つけたり自分が育てたって思っちゃうと、だんだんわがままになっていくんだよね。「この前のアレはちょっと違う」とか「最近駄目だ」とか(笑)。それが露骨に来ると、僕らもか細いから、マジに傷ついたり、影響受けちゃったり、妙なことになっちゃうんだ。あくまでみんなのことを大事にしたいので不特定多数の人に対して愛情は注げるけど、特定の人に対して愛情を注いではいけないと思っているから、そのことはぜひわかってもらって、みなさんの方から距離を保って欲しいと思う。

そっちの流れでいうと、インターネットとかメディアについてもそうで、例えばスケジュールを非常にほしがっている人がいて、それが役に立つっていうことであったり、急を要するようなインフォメーションについてはすごく役に立つ。僕自身が物を調べるときにもそうだし、さっきのテクノロジーの話にも通じるけど、大好きなものだね、コンピュータとか新しいもの。人生観・価値観・世界観を全く変えてしまうものだと。だからものすごく僕は賛美をしているんだけど、やっぱりプライバシーとか距離感との問題に於いて非常に危ういものであることは確かで。だから同じ話になるんだけど、みんなが僕に対して距離感とか暗黙のルールというか、センスを持って欲しいと思うんだ。

でもどっかでは、いろんな人の価値観とか生き方を認めているのであれば、何が起こっても僕はそれをいいと思わなきゃいけないね。つまり、自分にとって危ういときはわかる範囲では対処するけども、正確に言えばそういうことがあるからインターネットはキライだ、という判断はしたくない。そういうものも価値観の違いだから、僕がみんなに何か言うことはできても、何かを決めてしまうことはできない。僕は何よりも自由が好きだから音楽をやっているわけで、みんなにもその自由は絶対あるから。好きじゃないからとか僕の価値観で違うとかいうことはあっても、それを敢えて強制すべきではないと思う。ただ言える範囲であれば伝えたいとは思うね。 


2002.1. 都内某所にて
Interviewed by S.Hayashi

previous back

 back to 太田惠資ホームページ