太田惠資インタビュー2006 part3

仲間意識みたいなものも出てきたかもしれない


そうか、変わったといえば、日本の、非クラシックのヴァイオリン業界が、5年前とは全然違うね。いまヴァイオリンでポップスやったり、ジャズやったりするのが、当たり前になっちゃった。ある意味やっと、欧米並みになってきたんだけど・・・日本ていつも、どんなジャンルでもそうで、上っ面だけなんだよ。結局(そういうヴァイオリンが)すごく認識されてきても、ずっと地道に非クラシックをやってきた人たちを飛び抜けて、クラシック出の人たちがやりだしたことにマスコミとかレコード業界が飛びついているんですよ。で、それは日本によくある構造で、僕等がいくらがんばっていても、「音大出たの?」とか、「楽器は(値段が)いくらのを使ってるの?」とかいう構造だから。

やっとレコード業界とかマスコミとかが、「え、ヴァイオリンでロックやってるんですか、しかも芸大出なんですか」みたいな、安心して飛びついて、その人(プロデューサー)が責任をとれる状況になった。昔は俺なんかに飛びついても、責任とれなかったりしたわけだ。自分がいいと思っても、周りが「あいつ下手じゃん」となったら責任とれない。(※民族的な音色、微分音などの音程、独特のこぶしなどが時として判断を鈍らせるらしい:hayashi) 今は音大出というのがブランドになって、例えばそのプロデューサーが上の人に、「あの人いいと思うんですよね」って言うと「ああそうか、どこ(出身)?」。で、「芸大出てるんですよ」。それで、「へえ、ヴァイオリンがドラムと一緒にやってんのか、いいねぇ〜」って・・・。
やっとだよね・・・でも上っ面だけだから、結局哀しい状況なんだけどね。ビジネスっていうのは商品価値がないと成り立たないというのはすごくわかるけど、本当にいいもの見つけて商品価値を作るくらいのパワーがないから、やっぱり安心なところだけ捕まえてくる。だけどその安心なところはあんまり本物じゃなかったりするのでね。

それでも、今すごく普通になったというのは、いいことだと思う。ギターマガジンとかベースマガジンみたいな、ヴァイオリンの・・・弦楽器の雑誌があるんだけど、「ヴァイオリンで弾くジャズ・ブルース」とかって連載されてるの。それを知ってる人がやってたりとかね。


で、俺ら、だよね。

俺達について言うと、5年たって仲間意識みたいなものも出てきたかもしれない。勝井さんとか、壺井(彰久)さんとか喜多(直毅)さんみたいのが、すごくいい仲間っていう感じで。自分でなくても、ああいう人たちには商品価値がちゃんとついてきてビジネスになるといいなと思っている。

勝井さんはあれでいいと思う。勝井さんのようにエフェクタを使ったりして弾くことは出来ても、勝井さんのようにそれを表に出して演奏している人はあんまりいないし、十分長いこと種を播いたと思うから。勝井さんは良い部分で、こっちの方の世界ではすごくメジャーだから。

壺井さんも、プログレのヴァイオリンではもう火がついてるし、間違いなく上手いしね。

喜多さんも、すっごい上手いね。喜多君なんかホント面白い、いい若い仲間ができたな、と思うんですけどね。

クラシックから出てきたのではない、塊が出来つつあるので・・・だからヴァイオリン・サミットを早くやりたいんだ。Buddy(※江古田にあるライブハウス)にね、すごく久しぶりに行ったら、マスターに「なんか太田くんやってくんないの」って言われて。「ひとつ企画があるんですけど」って話したら、「その企画のった!」って。「一回目はウチで試し的にやってみて、それがすごくよかったら、もっと別の形で広げていってもいいよ」って。で、そのメンバーというのが、勝井・壺井・喜多・太田なんだよ。

ーーおおー!

サポートは、鬼怒(無月)さん、岡部(洋一)さんはいまOKが出ている。で、キーボードがもし要るなら、プログレもやろうと思っているし、ジャズも出来て、ロックとか音響派も出来て、みんなを知っているという意味で、谷川賢作さんかなー。それか、難波(弘之)さんもいいよね。ベースが決まっていなくて、俺はバカボン鈴木さんかな、って思ってるんだけど。でもまあ、それは皆さんのスケジュールもあっての話だからね。

ところがね、ひとつ大きな問題にぶつかって(笑)。勝井さんが「誰が出るの」って言うのでそのメンバーを言ったら、「僕は負けるケンカはしない」って、いま渋ってるんですよ(笑)。

ーー何を言ってるんですか(笑)。

そうそう、あなたが、負けるわけないじゃんって(笑)。何をもって負けるとか言ってるんだろうねえ。いや、勝井がいなければこれは成り立たないよね。だからね、会うたんびに口説いていて(笑)・・・だんだん柔らかくなってきてる。だからホントは3月くらいのつもりだったんだけど、もっと後になっちゃうかもね。(※インタビューは1月だった)

太田言い出しっぺの企画として、チラシとかもちゃんと作りたいし。自分で頑張るのだと、パフォーマンス系で何回かあるくらいで、ほとんど、この20年間で数えるほどしかないから(笑)、ちょっとやりますね。今年はまずそれをやるね。で、もしかしたらそれを録音して、アルバムにしてもいいなあって。

ーーおおー!

自分のソロがなかなか出来ないからそっちに逃げようかなって(笑)。

(続く)


2006.1. 都内某所にて
Interviewed by S.Hayashi

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