pix by Misao Soma
何かを伝えたい時に、怒りという形はあんまりいい形ではない、と僕も思っています。ホントは怒っているんだけど、エンターテインメントな部分とかポップな部分でそれをわかってほしい。だから怒っているんですけど、凄く楽しんでもらいたい、というのがモットーですね。泣いたり笑ったり。で、そこでわかりやすいとか優しいとかいうんじゃないものを感じてほしい。そういうモットーでやってますね。
(さっきの「売れ線系のサポート」とか、書いちゃっても構わないんですか?)
いや、むしろね、面白いんです。僕なんかを絶対聴きにこない人が見て、面白い、と思ってくれたりするので、すごい、やりがいはありますよ。割とまあこういうジャズ系だと、ある程度僕とかグループとかを気に入って来てくれる人たちが多いので、それはどっちかというと飽きられないようにする方向性に行っちゃうんだけど。売れ線系のポップスとかメジャーな人のバックアップというのは、全く「あのおっさん何?」ていうところで聴いているから、それをサポートしつつ貰っていくのが楽しみではある(笑)。だからやりがいはありますけどね。
あるな。結構長くなりそう。あのね、あります。すごくあります。それも怒りに通じるんだけど、何にしようかな。
まあヴァイオリンということですよね。その前の話はまあ置いといて、ヴァイオリンで行こうと思って14、5年前に東京に出てきたとき。今(BGMで)ステファン・グラッペリがかかっているんですけど、僕はすごい若い時から好きだった。ジャズ・ヴァイオリンの人で、ちょっとジプシーっぽい音色なんですよね。フランスぽい香りとか...で、ジャズの即興演奏をやってて。だから絶対いっぱいあるはずだと思って出てきたら、なんかね、「ヴァイオリンはストリングス・セクションみたいのしか仕事ないよ」って言われたんです。歌謡曲でもなんでもストリングスってあるじゃないですか。後ろで薄く大勢で弾くような。そういうのしかないから、そういう音大関係の人じゃないとコネがないし無理じゃない?って言われたんです。で、「あんた知らんのんか!」という。もうそこで怒ってるわけですよ。
それで、それはまあ若気の至りってのもあったんですけど、「ヴァイオリン一本で行けるわ!」って突っ張ってたんだけど、10何年前とか、今よりやっぱり下手なんですよ(笑)。比べられるのが、芸大出身の方とかね。そういう人がいろいろ出てきたと同時くらいからやりだして。ある意味で上手いんです、上手いんだけどやっぱりクラシックの香りがしてて。「こんなんじゃあない!」って。「オレが思っている、世界中にあるブルースとかジャズとかポップスとかロックのヴァイオリンはこんなんじゃないぞー!」って思ってたんですけど、誰も認めてくれなくて。
それでね、自分が前からやってたというか好きだった部分なんですけど、まあoudの常味さんなんかとやりだして、アラブの古典とかをきちっと人前でやることになったんですね。常味さんに会ったのがきっかけじゃないんですけど。で、僕にしたらそういうことは前からやってたのに皆が知らなくて見向きもしなかっただけなんだけど、それが面白いって。なんか「クラシックの人じゃ、あの音色は無理だね」なんて逆のことを言い出したりして。で、そういう、半音とか半音の半音とかつぶしたような音とか、みんなの認識しているクラシックの音じゃないのが売りになって、「僕の売り」=「そういう民族音楽系のヴァイオリンの音色」ということになっちゃってるんです。それはそれで僕にとっても都合がよかった。それで梅津さんとも出会ったし。「こんなトルコの音楽とかやってる人っているの」って梅津さんが見てくれたし。だからそういう意味でよかったし売りなんですけど、それがやりたくてやってるわけじゃないんですよね。だから(インタビュアーが)よく見に来てて、失礼になっちゃうかもしれないけど、常味さんとやってることは、僕は常味さんのサポートだと思ってやってる。これもちょっと誤解を恐れずに言えばね。
ただ楽しんではいます。好きではあります。好きだし売りだとは思っているんですけど、あれがやりたいことではないんです。それは常味さんとか吉見さんも知ってて、知った上でやってくれてるんで。今の売りはその民族音楽系ということでいいんですけど、なんちゅうかな。括弧付きというか、放送禁止の部分で「それはあんたらが知らんだったせいや!」という部分なんです。だからそこでもちょっと怒ってるんですけどね。
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